東野圭吾の新刊・『危険なビーナス』を読みました【ネタばれあり】

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★今回の記事は多大なネタばれを含みます!ご注意下さい!★

危険なビーナス

東野圭吾の新刊・危険なビーナス♪

東野圭吾さんの新刊・危険なビーナスを読みました。

たまたま、広島アスリートマガジン
を買いに行った本屋さんのレジに積んであったので、「お!新刊でてたのか!」と衝動買いです。

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『危険なビーナス』あらすじ

獣医の手島伯朗は、ある日、疎遠にしていた異父弟・矢神明人の妻を名乗る人物から一本の電話を受け取る。
(伯朗が20歳に時に、亡父の姓を名乗ることに決めたため、苗字が違います)
それによると、新婚ほやほやの明人が行方不明らしい。
明人を探し出すべく、明人の妻・楓とともに奔走するうち、伯朗はどうしようもなく楓に惹かれていく。
真相を探るうち、伯朗は、実父の病気、母親の死、養父の研究にまつわる秘密を暴いていくことなる・・・。

ざっというとこんなお話です。

ひと癖もふた癖もある登場人物たち

もちろん、ただ単に冒険活劇というわけではなくて、そこには一癖もふた癖もある人物が目白押しです。
たとえば・・・

美しく大胆かつしたたかな弟・明人の妻・楓。
おそろしくカンの鋭い伯朗の美人助手・蔭山元美。
病気で前後不覚ながら、なにかを伝えたい養父・矢神康治。
かつては栄華を極めた医者一族でありながら、今は沈没寸前の矢神家の財産を狙う親族の面々。

などなど。

それなりの数の人物が登場するのですが、すんなり理解させる手腕はさすがです。

便利屋ポジションな明人の存在

★ここから多大なネタバレを含みます!!★

物語のキーマンであり、終盤まで登場しない主人公の弟・明人。
彼は、最初から最後まで抜群の存在感を示し続けます。

しかしこの明人が・・・どうもにご都合主義というか、便利屋すぎて、う~んと首をひねらざるを得ません。
彼があまりに万能なゆえに、物語がストレートになりすぎるんですよね。
分かりやすくていい!というのはもちろんその通りなのですが、「ええ!?」という驚きがない。
書店のアオリに「最後に思いもよらないどんでん返しが!!!」的なことがあったから、期待しすぎたのかもしれませんが・・・。

だって、没落しかけているとはいえ、大金持ちの矢神家の跡取りで、超絶英才教育を受けていて、
子供のころから天才児扱いされていて、IT企業の社長で、イケメンで・・・。
と、字にしただけでオナカいっぱいな、少女漫画的キャラなんですもの。

正直、私は康治氏が研究を利用して、後天的サヴァン症候群を引き起こしたのが明人なのではないかと、途中まで思っていました。
伯朗の父親を研究材料・踏み台として、妻(伯朗の母)と結託して、没落しかけている矢神家を救うべく、
天才児を人工的に作り上げた、的な。
そのぐらいのパーフェクト・ヒューマンなんですよ、明人くん。

なので、終盤ページが少なくなるにつれて・・・
あ、あれ?これだけのページしか残ってないんじゃ、明人の秘密が語り切れないよ!?
などと極めてとんちんかんな心配などしていました。うーん考えすぎもいいところでしたね。

康治さん、めっちゃええ人やないかーい!
明人くん、超常識人やないかーい!
楓にいたっては・・・ここはさすがに自粛しておきます。

「悪人」のいない恐ろしさ

軽快に読める作品なのですが、ふと思ったことをひとつ。

この物語に純粋な悪人(悪意を持った人)っていないんですよね。
多少ひねくれたところはあるにせよ、みんな自分の目的に誠実に生きているし、
誰かを陥れようとしている人は一人もいない。

それでも、ボタンのかけちがいによって悲劇が生まれる・・・というのは、「悪人」がいなくても「悪」が発生するという人間の業を考えさせられます。

爽快感満載!ストレスフリーな推理小説を味わいたい方に♪

書きたい放題書いてしまいましたが、ヘンにひねくれたところのない物語ですから、
ネチネチではなく、さらりとスピード感を持ってミステリを味わいたい方にお勧めの一冊です。
「白夜行」のような重々しさと緊張感を味わいたい方には、ちょっと物足りないかも。

もったいつけずに色んな人物が話を聞かせてくれるから、ストレスが溜まらずとても爽快感がありますよ。
読後に考え込む・・・というタイプの小説ではないので、ストレスフリーにミステリを楽しみたい方にぜひ!

 

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