先日ニュースで報じられていましたが、南区にある被爆建物「旧陸軍被服支廠(ひふくししょう)」の一部が解体の方向で進められているそうです。2年前から今後の活用方法について調査が行われていましたが、老朽化が激しく、4棟ある建物のうち(1棟を国が所有、3棟を県が所有)、2棟を解体する方針が県議会総務委員会で示されたとのこと。
旧陸軍被服支廠について詳細はウィキペディアにも記載されていますが、軍服などの製造に使われた施設で、広島市内で最大級の被爆建物です。現在は「出汐倉庫」とも呼ばれている建物で、赤レンガが特徴的ですね。爆心地から約2.7kmの場所にあり、原爆の爆風に耐え、被爆者の救護所にもなったそうです。
4棟ある建物はいずれも築100年以上が経過し、老朽化が著しく、現在はブロック塀当の改修工事が行われています。
以前から、老朽化により地震で倒壊する恐れが指摘されており、現在も地震の際には壁に近づかないように張り紙がされています。
NHKのニュースによれば、県が所有する3棟のうち、2棟を解体し1棟の外観保存を行う場合の費用は8億円であるのに対し、3棟すべてを保存するためには84億円が必要となるそうです。
難しい問題ですよね。一目で原爆の悲惨さが伝わる建物がこれだけの規模で残っているので存続させて欲しい気持ちもありますが、維持にかかる莫大な費用を考えれば解体も止むを得ないという気持ちも。
議会の了承が得られた場合、来年2020年度から事業に着手し、2022年度までに解体と補強を終える予定とのこと。なお2棟の跡地には駐車場などを整備して、見学者の受け入れを増やす考えだそうです。まだどうなるかは分かりませんが、当時の状況を知る貴重な建物ですので、広島を訪れる事があれば今のうちに見ておいては。
旧広島陸軍被服支廠(出汐倉庫)
広島県広島市南区出汐2-4-60[地図]