プロ野球は、今シーズンもいよいよ大詰め。シーズン終盤に近づいてくると出てくるのが「マジック」という言葉です。カープも先日からマジック点灯が話題になっていました。ただ、このマジックの計算は分かりづらく、プロ野球選手の中でもよく理解していないという話があったとか、なかったとか。
ちょうど昨日、8月16日(水)に行われたカープの試合では、2位阪神との直接対決で勝利したにも関わらずマジックが1つしか減らず、疑問に思われる方も多かったようです。そこで少しでも参考になればと、出来る限り簡単にマジックについてまとめてみました。シンプルにしているので足りない部分も多いでしょうけれど……。
(2018シーズンはこちら)
まず、マジックとは、たとえ他のチームが全勝しようと、自分のチームがあと何勝すれば優勝するかの目安となる数値です。ただ、他のチームとの勝敗もあるので単純に1つずつ減っていくわけではありません。多くの場合は、自チームが勝つ、もしくは2位のチームが敗戦すれば1つ減り、直接対決で勝利すると2つ減ったりするのですが、勝率で考えるので、引き分けで減る事もあるし、勝っても変わらない事もあるので、ややこしいです。
大事なのは勝率です。勝率は次のように求められ、引き分けは関係ありません。ただ引き分けになると、残り試合数に影響します。
勝率=勝数÷(勝数+負数)
マジック33点灯時
まずマジック33が点灯した8月8日(火)終了時の勝敗表です。分かりやすいように、ここでは勝率を小数点以下5桁まで書いています。
●2017年8月8日(火)終了時 M33点灯
チーム名 | 勝 | 負 | 残試 | 勝率 | 残り全勝 | 勝率 |
広島 | 63 | 35 | 41 | 0.64286 | ||
阪神 | 53 | 44 | 45 | 0.54639 | 98 | 0.69014 |
DeNA | 49 | 46 | 44 | 0.51579 | 93 | 0.66906 |
巨人 | 48 | 51 | 43 | 0.48485 | 91 | 0.64085 |
中日 | 42 | 55 | 41 | 0.43299 | 83 | 0.60145 |
ヤクルト | 35 | 64 | 42 | 0.35354 | 77 | 0.54610 |
その横に、他チームが残り試合を全勝した場合の勝数と勝率を並べました。もし阪神が残り45試合を全勝したら98勝44敗になるわけですね。ただ、カープがもし残り試合のうち33勝すれば、後は負けたとしても96勝43敗になり勝率は0.69065で、阪神が全勝した場合の勝率を上回る事になります。阪神との直接対決を除いても33勝出来る可能性があったため、ここでマジック33が点灯したというわけです。
マジック27再点灯時
次は8月15日(火)の阪神戦で引き分けた事によりマジック27が再点灯した時の勝敗表です。
●2017年8月15日(火)終了時 M27再点灯
チーム名 | 勝 | 負 | 残試 | 勝率 | 残り全勝 | 勝率 |
広島 | 66 | 38 | 35 | 0.63462 | ||
阪神 | 56 | 47 | 39 | 0.54369 | 95 | 0.66901 |
DeNA | 52 | 48 | 38 | 0.52000 | 90 | 0.65217 |
巨人 | 50 | 54 | 38 | 0.48077 | 88 | 0.61972 |
中日 | 46 | 56 | 36 | 0.45098 | 82 | 0.59420 |
ヤクルト | 36 | 68 | 37 | 0.34615 | 73 | 0.51773 |
ここも上と同じように、たとえ阪神が残り全勝しようとも、カープが残り27勝すれば後は負けたとしても93勝46敗で勝率は0.66906となります。直接対決を除いても可能だっためマジック27が点灯しました。
直接対決で勝利してもマジックが1つしか減らなかった理由は?
そして肝心の昨日、8月16日(水)の試合。阪神との対戦で勝利しました。通常だと直接対決で勝利すればマジックナンバーは2つ減りますが、この時は1つしか減らずマジック26になりました。その理由も勝率で考えると分かります。
●2017年8月16日(水)終了時 M26
チーム名 | 勝 | 負 | 残試 | 勝率 | 残り全勝 | 勝率 |
広島 | 67 | 38 | 34 | 0.63810 | ||
阪神 | 56 | 48 | 38 | 0.53846 | 94 | 0.66197 |
DeNA | 53 | 48 | 38 | 0.52475 | 91 | 0.65468 |
巨人 | 51 | 54 | 37 | 0.48571 | 88 | 0.61972 |
中日 | 46 | 57 | 35 | 0.44660 | 81 | 0.58696 |
ヤクルト | 36 | 69 | 36 | 0.34286 | 72 | 0.51064 |
まず阪神が残り試合を全勝した場合の勝率は0.66197です。
そしてカープが25勝しか出来なかった場合、残り全て負けたとすると92勝47敗で勝率は0.66187になり、阪神の勝率が上回ってしまいます。26勝ならば、残り全て負けたとしても93勝46敗になり、勝率は0.66906です。そのため昨日の試合では直接対決に勝利してもマジックナンバーは1つしか減らず、マジック26になったという訳です。
残り試合数によっては2位や3位にマジックが点灯することもあるし、2チーム同時にマジックが点灯した例もあるようです。引き分けは勝率には関係ないとは言え、残り試合数には影響するので、引き分けでマジックが減ったり変わらなかったりすることがあるのも、このためです。マジックが点灯してからは勝率だけ考えれば良いのですが、点灯するかどうかは直接対決の試合数も考慮したりする必要があるなど、やっぱりややこしいですね。
ちなみに本日8月17日(木)の阪神戦、勝利すればマジックは2つ減り24に、引き分けでも1つ減り25に、そして万が一負けたとしてもマジック26のままとなります。