【ネタバレ有】東野圭吾著『恋のゴンドラ』独身男性のリアルな本音!?濃厚200%の恋愛小説

恋のゴンドラ。東野圭吾著。

かの『ノルウェイの森』を上梓したとき、村上春樹は「これは100%の恋愛小説です」と言ったそうです。
その言葉を借りるなら、どろり濃厚200%な恋愛小説が、今回読んだ東野圭吾著・『恋のゴンドラ』(2016/11/1発行)でございます。

ものすごく久しぶりにびっくりするくらいの恋愛小説を読んだので、最初は戸惑いましたが、なかなか新鮮でした。
(タイトルと表紙からちゃんと想像しろ、という話ですね)

白夜行』の重々しさとは全く違う、ポップな東野恋愛小説。
以下、ネタバレを多大に含むので、これから読む方はご注意下さい。

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登場人物 ※注意※盛大にネタバレしてます

この本は、全7章のそれぞれの小話(すべてつながっています)からなっています。
主要人物は男女8人。カップル×4組(カップル未満、夫婦含む)です。
そういえば、男女七人夏物語なんて昔ありましたね~。

以下、読後の感想を含む主観的な人物紹介です。

【カップルA】破れ鍋に綴蓋カップル

広太
建築系サラリーマン。美雪と同棲&婚約中。
独身最後の浮気に桃実とスノボ旅行をもくろむが、旅行先で婚約者である美雪に出くわしてしまい婚約破棄される。
同時に、浮気相手の桃実からも捨てられる。

美雪
広太と同じ職場で働いていたが、広太と別れたためホテル業界に転職。自称サバサバ系のにおいがする。

【カップルB】最後にようやく報われそうな被害者カップル

日田
ホテルマン。空気を読まないギーク的三枚目。『いい人』で終わっちゃう系男子。
ファッションにも無頓着。そのかわりにとても誠実でマジメ。
恋愛対象としての評価は低いが、社会人としては非常に評価が高い。
仕事中はスイッチが入るのか、シャキッとしたキラキラホテルマンに。
ホテル業界に転職した美雪と知り合い、プロポーズしようとするが、寸前で広太に掻っ攫われた。
その後、ゲレコン(ゲレンデコンパ)に参加し、桃実を好きになる。
誠実なわりに恋多き男。

桃実
デパートの化粧品売り場スタッフ。実は美雪と高校の同級生。
広太に二股かけられているとは知らずスノボ旅行に行くが、行った先で二股が発覚し、広太と別れた。
その後ゲレコンに参加し、ホテルスタッフ一行と知り合う。名前がなんかエロい。

【カップルC】便利屋枠カップル

水城
ホテルマン。いわゆるチャラ男くんという名の物語を進める歯車役。
広太と別れた後、ホテル業界に転職した美雪にフラれた(実際には付き合ってない)日田と桃実をくっつけるため奔走しつつ、自分は桃実の友達に手を出そうとするが、逆にハメられて秋菜にプロポーズすることに。

秋菜
ホテル組全員と同じホテルに勤務。しっかりした性格。
最終的に年貢を納めざるを得なくなった水城からプロポーズされて婚約。
常識人だが、それゆえに作中では影が薄い。

【カップルD】まともな若夫婦。主役の中のサブ役

月村
ホテルマン。日田や水城の後輩。
ちょっと面倒くさい義理の父の顔を立てつつ、楽しもうとしてくれるできた男。
ダメ男ばかりのこの作品の中の良心。
麻穂
天然を通り越してアホとまで言われてしまうが、身持ちの堅い常識人。

根津さんとスキー場パトロール隊員のみなさま

頼りになるうえ、物語の進行上、大変便利なナイスガイたち。
スキーの腕前もスノボの腕前ももちろんプロ級。
とにかく便利。なにかと便利。

『恋のゴンドラ』あらすじ ※注意※盛大にネタバレしてます

里沢温泉ゲレンデを舞台に、男女8人の恋愛模様を描きますが、主に軸になるのは上記のカップルA、B。
カップルC、Dはそのために奔走するという構図です。(主役を張る章もありますが、番外編的扱いです)

広太は美雪と同棲中。
30歳になる前に結婚したいという美雪に押されて婚約したものの、最後の一花とばかりに桃実と浮気をもくろむ。
苦労して、なんとか桃実とのスノボ旅行にこぎつけ、ウキウキの広太。
しかし、運命のいたずらか!
乗り合いのゴンドラには、なんと婚約者・美雪が女友達とともに乗り合わせていた。
天国のゴンドラは一転、地獄のゆりかご(らんま1/2懐かしいですね)に。
スノボ用の恰好が幸いして、広太はなんとかゴンドラ内で無言を貫き通し、無事に事なきを得ようとしていたが、降りてびっくり。
なんと、美雪と桃実は高校の同級生だったのだ。
二股かけられた同士とはしらず、再会を喜ぶ女友達2人。
かくして広太は、2人の女性に同時に捨てられたのだった。

同じころ、ホテルの同僚5人組が里沢温泉ゲレンデに来ていた。

プレイボーイの水城。
その水城と会社には秘密で付き合っている秋菜。
特に特徴のない後輩・月村。
その月村と付き合っている超天然の麻穂。
そして空気のよめない『いい人』・日田。

プレイボーイの水城は、秋菜に飽きたらそのうち捨てようと思っている旨を男性陣にこっそり告白するが、周りが常識人のためか、とくに波風はたたずに無事に旅行は終了する。
この旅行で、月村と麻穂は、近いうち結婚することを仲間に報告した。
そして、こっそり麻穂が好きだった日田は、ひっそりとフラれたのだった。

それから1年。

ホテル同僚グループ5人+半年前に入社してきた中村さんが、里沢温泉ゲレンデにきていた。

実はグループの目的は、日田から中村さんへのサプライズ・プロポーズ作戦。
いい人扱いを受けて幾年月、ようやく幸せをつかみそうな日田を、みんなが応援していた。

いくつかの挫折を経て、なんとか成功しそうだったプロポーズ大作戦だったが、最後の最後でどんでん返しが待っていた。
なんと、突然現れた男が、中村さんに土下座&坊主頭でプロポーズ。
しかも、中村さんはそれを受け入れてしまった。

坊主頭で土下座した男性は広太。
そう、誰あろう中村さんは、は広太と別れた後、ホテル業界に転職していた美雪だったのだ。
紆余曲折を経てくっついた広太と美雪。
そして日田は、またしても失恋したのだった。

それから数ヶ月後。
里沢温泉では、ゲレコン(ゲレンデで行われる婚活パーティー)が開催されていた。
ゲレコンにて、日田&水城コンビ、桃実&弥生(桃実の友達)コンビは出会う。

相次ぐ失恋に見舞われた日田に何とか春を、と思う水城の手腕もあり、意気投合する4人。
水城の必死の努力もむなしく、桃実に野暮な態度ばかりの日田。
告白タイムで、日田は桃実に告白するが、結果は「ごめんなさい」だった。

桃実にとって、日田は野暮な印象の冴えない男、という印象しかなかった。
しかし、ホテルマンとしてビシッと働く日田を見たことで、ほんの少しだけ見る目が変わる。

そんな桃実と日田を、水城と弥生はなんとかくっつけたい、と考える。
かくして、水城の弥生に対する隠しもしない浮気心をはらみつつ、再び里沢温泉ゲレンデでのプロポーズ作戦が決行されることとなった。

準備万端で臨んだはずの里沢温泉ゲレンデでのプロポーズ作戦は、ものの見事に挫折する。
肝心の日田が、途中でケガをしてしまい、続行不可能になってしまったのだ。

水城は失敗した作戦に意気消沈しつつも、それはそれとして自分は弥生とうまいこと浮気しようと意気揚々と弥生の部屋へと訪れる。
が、それこそが日田、桃実、弥生の作戦だった。
実はこの旅行は、水城から秋菜へプロポーズさせるための日田、桃実、弥生の作戦だったのだ。

弥生と浮気をしにいくはずだったプレイボーイの水城は、一転、腹をくくって秋菜にプロポーズし、見事成功。
こうして、日田、桃実、弥生の仕組んだプロポーズ大作戦は大成功を収めた。

さらにまた後日。
すでに夫婦である月村&麻穂、結婚間近の水城&秋菜、そして日田と桃実の6人が里沢温泉ゲレンデに来ていた。
誰がどう考えても、日田と桃実をくっつけるための旅行だ。

二人きりになっても相変わらずの朴念仁の日田に、桃実は愛想をつかしかけるが、ふと気づく。
日田は、リードをしたときではなく、リードをされてこそ真価を発揮する男なのだ。
桃実がリードし、日田がついていく、時にはサポートする。
そうすると、不思議なほどしっくりきた。
もともと、桃実は自分が引っ張りたいタイプ。
その構図こそ、この二人にはピッタリの距離だった。

めでたく仲良くなった日田と桃実。
その様子を見て、メンバーは喜ぶ。

そして意気揚々と、さぁまた滑ろうと乗ったのは、あのゴンドラ。
そう、桃実と美雪と広太が鉢合わせしたあのゴンドラだ。

どんなめぐりあわせか、そこには今では夫婦となった広太と美雪がいた。
プレイボーイ同士、水城と広太は意気投合してゴンドラの中で盛り上がる。

以前、広太には日田の目の前で美雪を掻っ攫っていった前科がある。
(その時日田はゴーグル・マスクの完全装備だったため、広太は気付いていない)
話題は当然、恋愛関係。
また美雪の「おさがりの男」と思われたくない桃実は、幸いゴーグルとマスクをしていることもあり、必死に押し黙る。

そんなことは露とも知らない軽口な広太は、2年前の鉢合わせ事件をオモシロオカシク笑い飛ばし、さらには桃実から誘われた、誘いに乗らなくて助かった、などと話を大きくしてウソを話し始める。

辛抱たまらなくなった桃実は、とうとうマスクとゴーグルをはずし、正体をさらす。
そして雪山には、叫び声がこだましたのだった・・・・。

2016年的プレイボーイと浮いちゃう系男子の群像

美雪と付き合って1年。広太は最悪だった。

などとカイジ風に始めてみますが、冒頭の章の広太はまさにそんな感じでしょう。

大切な人はいるけれど、年貢の納め時にはまだ早い。
でも、そろそろ覚悟を決めないと。
でもでも、せめて最期に一花、遊びたい!

広太と水城の行動を見ていると、原動力はこんな感じでしょうか。
振り回されるほうはたまったものじゃないと思いますが、これが2016年型プレイボーイそろそろ卒業・・・な方のリアルな本音なのかもしれませんね。

一方、日田は読者からしたら「がんばって!」と声援を送りたくなる典型。
空回りしてるというか、生真面目というか。
いるよね、こういう空気を読まない浮いちゃう人、というタイプ。

どちらのタイプも、「これさえあれば」的なところが、とってもあるあるで面白いです。

男性のバリエーションに加えて、女性はみんな同じような性質(性格ではなく)だなと思いました。
(麻穂を除く)
しっかりしていて、男性の手綱を握りたいと思っている、でもどこか夢も見ている。
それは、20代後半女性のリアルな恋愛像なのかもしれないですね。

プレイボーイ…?不思議な部分も

読んで、不思議に思ったことがひとつ。

この本の登場人物、関係が潔癖すぎやしないだろうか。

特に広太と水城。
プレイボーイでグイグイいくのに、落とそうと思った女性に何か月も手を出さないとか、あり得るんだろうか。
しかも、そんな状態の女性を旅行代+10数万円の新品ウェアまで買って、旅行に誘うものなのだろうか。

そして美雪にプロポーズした日田。
「付き合って3ヶ月」とお互いが認識している状態で、男女関係がないって、いくらなんでも無理がないですか。
しかも、日田はプロポーズしようとまで考えていたのに。

結末の後の広太の運命やいかに!?

気になるのは、ラストシーンの後の広太の運命です。

桃実は立ち去ってしまうわけですが、だとしても、後から美雪と連絡を取り合う手段はいくらでもあるわけですし、何より広太のうろたえぶりと実際の桃実を知っていることで、ホテル組はウソを察するはずです。

知り合ったばかりの彼らはまだしも、妻である美雪にもよりを戻した後、同じように言い訳していたとしたら。
妻からの信頼が一気に地に落ちてしまうわけで・・・。

あなかしこ。あなかしこ。

「その時、運命のいたずらか!」というアンドロイド山田ナレーション(妖怪ウォッチ)が、何度も頭の中で再生される急展開の連続。
読みやすさは抜群なので、ライトな恋愛小説が読みたい方にオススメな一冊です♪


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